みなさんは、電子書籍の印税って考えたことはありますか?
夢の印税生活・・・
出版業界は軒並み厳しい状況にありますが、そんな中で作家さんにはどの程度の印税が支払われているのでしょうか?
筆者も調べてみましたが、「そもそも電子書籍を買っても、作者には大した額は入らない。」といった文言もチラホラ。
そして、作家さんを応援するには、あくまでも書店で紙の書籍を買って欲しいというツイートも。
【拡散希望】探している漫画が書店で見つからない。でも重版はかからない。何故?というお話。pic.twitter.com/9vOIbZGs9e
— 久世岳 (@9zegk)January 7, 2017
・・・なんだか厳しい世界ですね。
そもそも何で電子書籍では作者を応援することにならないんだろう・・・?
今回は電子書籍の印税を取り巻く現状について調べてみました。
本を出版したときに作家に支払われるのが印税。
電子書籍の世界では「料率」と言われることが多いようです。
ちなみに、印税ってどのようにして算出されるのでしょうか?
発行部数×単価×印税率(10%前後)
ただし、これは紙の本だけだった時代の話。
電子書籍の世界では、ビジネスモデルが複数存在することもあり、もう少し話が複雑になっています。
・巻売り:単行本を売る
・話売り:一話ごとに課金する
・サブスクリプション:毎月定額で読み放題
・広告配信:読者は無料で読めて、作者には広告料が入ってくる
これに加えて、電子書籍の世界では〇巻無料とか、さまざまな割引キャンペーンを実施していますが、
これらを定期的に行うことで売り上げの最大化を実現する狙いがあります。
ここで結論を言ってしまうと、新刊を電子書籍で買ったところで、作者を応援する効果はほとんど無いということ。
電子書籍の売り上げは、営業や編集などの現場の人たちにとっては眼中に無いものなのだそうです。
巷にあふれている電子書籍、特に電子コミックやライトノベル等は、紙媒体だったものをそのままデータ化して出版しているケースがほとんどです。
そうなってくると、
電子書籍なんて、所詮紙媒体のオマケでしょ?
という意識の出版社も多いとか。
出版業界では、まだまだ旧来のビジネスモデルが残っており、これまでのやり方や意識がずっと続いている部分も多々あります。
実際、今でも新刊が出た際は諸般の部数や価格を決めますが、ベースはあくまでも紙媒体。
つまり、紙媒体がどれだけ売れたかによって作品の成功/失敗が判断されるということなんです。
じゃあ電子書籍を買っても、紙の本を買う人が一人減った、
くらいにしか見られないのか・・・
こうした背景から、電子書籍に肩入れするよりも新刊(紙媒体)に注力したいというのが本音だと考えられます。
ここまで読むと厳しい内容ばかりですが、ここで紙媒体と電子書籍の市場規模を見ていきたいと思います。
まず、紙媒体の市場規模は、2020年度で1兆2237億円。
対して、電子書籍の市場規模は、2020年度は4821億円。
紙媒体の市場規模は電子書籍と比較すると、およそ2.5倍でした。
こうして比べると、やっぱり紙媒体は強いんだな・・・
しかし、電子書籍はこれ以上伸びないのかと言われればそんなことは無く、
販売額推移のグラフを見てもじわじわと伸びてきていることが分かります。
紙媒体が無くなることは考えにくいですが、今後、個人で書籍を出版したい場合は、出版社と電子書籍版の印税についての契約を見直すと良いのかもしれませんね。
しかし、それはある程度の実績や知名度がある作家さんでないと、そういった交渉は難しいという話も聞きます。もしかすると、今後はそのような交渉を代行してくれるエージェントのような仕事が、日本でも出てくるのかもしれません。
茨城県出身。学生時代はビッグバンドジャズに没頭し、紆余曲折な時期を過ごす。
新卒で食品容器メーカーに就職し、現在開発職のお仕事をしています。
好きなものは音楽と街歩き。
読者にとって役に立つ情報を発信できたらと思います。